魔王に捧げる物語
感じた事のない気持ちが沸いて、胸が痛い。
止めどなく涙が流れて、唇が震えて嗚咽が漏れるが、気になんてならなかった。
ひどい顔だって、これが自分。
震える唇に力を入れて、ニルを見つめ、練習するように何度も口を動かしてから言った。
「……好き……」
彼の手がピクリと止まり、はためいていた翼もそのまま、滲む視界で見る彼の顔がポカンとしている。
少し恥ずかしくなったけど、ミラは勇気を振り絞った。
「好きよ……、ニル。
たとえ人じゃ、なくても。
あなたが好き……」
泣きながら、精一杯に笑おうとするミラに震える程歓喜した。
魔王を放棄してしまいそうになるほどに、
今ばかりは、役目を忘れてこの幸せに浸ってもいいだろうか?
らしくない。
どこか冷静な自分もいたが、なんだか……どうでもよくなった。