キミが刀を紅くした
「今夜、花簪で浪士の会議があると言う情報が入った。仕事じゃないが、お前も出てくれるか」
「俺は仕事じゃないんでしょう。今日の夜は本当にゆっくり寝ようと思ってたんですけど――」
「さっきまで寝てたんだろ」
「まさか」
「頬に跡がついてるぞ」
しまった。近藤さんも寝癖よりそっちを指摘してくれれば良いものを。俺は頬を触って確認した。
だが跡らしきものはない。
そこで、俺はこの人にはめられたと気付くわけだ。寝ていた事がばれてしまっては今夜の仕事を休む訳にはいかない。あぁ。
「――行きますよ。勿論」
「お前、明日非番だろ? どっちにしろ引っ張って行くつもりだったが。一番隊は必要だしな」
やられた。
俺は少しだけふてくされながら地図を見た。すると土方さんが花簪の場所を指で示してくれた。
「部屋の場所は?」
「特定出来てない。だから周りを囲んで逃げ道を全て塞ぐ」
「でもどうせ、一番隊は中に入るんでしょ? まあ椿姉さんにでも聞きゃいいんですけどね」
「あぁ、そうしてくれ。陽が落ちたらすぐに突入する。お前は隊を率いて正面から行ってくれ」
「裏手は?」
「二番隊を待機させる。突入するのはお前たち一番隊だけだ」
それはまあ期待されているもので。花簪には紅椿の件で何度も行く事があるが未だに構造は掴めていない。妙に複雑なのだ。
若女将の椿姉さんが全てを把握しているから俺たちは覚える必要がないのだ。逃げ道も、通り道も全て彼女に任せていた。