愛と云う鎖

コンコンッ…とマリーの部屋の扉が叩かれる。


その音にマリーと侍女が顔を合わせた。


「こんな朝早くにマリー様のお部屋に来るなんて誰かしら?」


侍女がぶつぶつと呟きながら扉を開けた。


開けたや否や、すかさず栗色の髪を持った少年がマリーに向かって走って行った。


「姉上っ!!」


「まぁヨーゼフ?!どうしたの、こんなに朝早くに!?」


マリーは突然の訪問者に大きな瞳を更に大きくして驚いていた。


少年の後ろでは侍女が手を脇腹に当て目を細めている。


「ヨーゼフ様、貴方は次期国王となられる方で御座います。いくら姉君だからとて朝早くに断りも無く女性の部屋に入るのは少々マナーに欠けると思いますが…」


侍女のその言葉に、ヨーゼフは姉から視線を侍女に向けた。


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