涙の雨
「―って、尚輝さん家じゃないですか!」


車の向かった先は

望月の住むマンションだった


「二人きりの方が話しやすいだろ?」

望月は玄関の鍵を開け
ゆっくりと扉を引く



久しぶりに来た望月の家



中に入りリビングに行くと

懐かしい匂いがして
俺はゆっくりと辺りを見回した



―全然変わってないや…


数ヶ月振りに見た光景は

とても新鮮に感じた




「ウーロン茶でいい?」


望月はキッチンに向かい

冷蔵庫を開けながら言った


「あっ、はい」


リビングの奥に進み
大きなソファーにポツンと座る



辺りをジロジロと見渡していると

ウーロン茶を持った望月が俺の隣に座ってきた




「部屋に来るの久しぶりだね」
「そう…ですね…」


お互いの肩が密着するほど
望月との距離が近くて


俺は一人でドキドキしてしまう



望月はいつも通り平然としながら
煙草に火をつけた




「博文と…付き合ってるんだろ?本人から聞いたよ」

―やっぱり!



俺は望月の横顔を見つめながら思った




―尚輝さんの話って

先輩の事なんだ…
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