Sin(私と彼の罪)
彼女の白い肌についた、俺の歯形をなぞる。
こんな証を望むほど、苦しんでいたのだ。
彼女は、幸せになるべきだ。
そうだろう?
白い紙袋を取り出した。
スガヤに言って、予備もすこし貰っておいた。
いつ、思い出してもいいように。
いつでも、俺のつくった楽園へと導けるように。
志乃、お前は何も知らなくていい。
何も、覚えてなんかいなくていいんだ。
俺が知っていれば十分。
志乃。
志乃。
「愛してる」
錠剤を口内に放り込む。
一緒にミネラルウォーターも口に含んだ。
彼女の唇をこじ開けて、流し込む。
「…んっ……」
苦しそうに、彼女の喉が鳴った。
口の端から、水が滴りおちる。
顎と頭をがっしりと持って、今にも離れてしまいそうな彼女を縛り付けた。
コクン。
全て飲んだことを確認すると、一息ついた。
相変わらず志乃は眠っている。
垂れた水を拭い、もう一度キスをした。