Sin(私と彼の罪)

例えばこの松………なんとか君。


なんだかやけに絡んでくる。

確か大学生だけど、こういうの好きみたいだ。


私も悪い気はしないので酒を飲みながら会話を楽しむ。




「いないよ彼氏なんて。店長が勝手に言ってんの」

「本当っすか~?」


色素の薄くなった髪はワックスでツンツンしていて、触ったらいかにも痛そうだ。

まるでゼンの柔らかい黒髪とは違う。



「本当、本当。結構長いよー」

「そーなんすかっ!以外っすね」


まだ少年っぽさの残る笑顔を見せつけられ、その眩しさにくらくらする。



「え~?」



そして以外とか言われてまんざらでもない私。

気付いていたが、大分酔いがまわってきた。


くらくらも多分そっちが90%。


「じゃあ、俺にもチャンスありますよね?」

「え…」



思わず飲んでいた酒が喉につまる。



なに言ってんだ、こいつ。



「はは、何の冗談…」



できるだけフレッシュな彼の顔を見ないように、はぐらかす。


こういう真っ直ぐな好意は苦手だ。

Uターンしてダッシュで逃げたくなる。

居心地が、悪い。



「本気っすよ。シノさん人気あるんですよ?」

「やめてよ、お世辞は~」


カラカラと適当に笑う。

誉められることに慣れていない私は、素直に信じることができなかった。



「え~~?!それ、松崎君、シノに気あるってこと?!」

「なっ、松!そうなんか?!」



タイミングのいいところで、出来上がった二人の横やりが入る。

ほっとした私はすかさず傍観者を装った。



あっ。

てゆうか名前、松崎君か。






店長やカナミがぎゃーぎゃーしてるときに、私は至って冷静だった。


なにしろ、酔いがまわっていてなんだか松……なんとかやら、ゼンやら店長やらでわけがわからなかった。




< 27 / 126 >

この作品をシェア

pagetop