Sin(私と彼の罪)
「煙草くさい」
まだ荒い息でつぶやいた志乃は恥ずかしそうに顔を背けた。
照れているのか、その頬は赤い。
「しょうがないだろ。さっきまで吸ってたんだから」
「アンタ、いつもそれだよね」
志乃はテーブルに放り投げられていた黒い箱を手にする。
買ったばかりなのでまだ綺麗なままだ。
「私もこれにしよーかな」
「は?なんで」
「…なんとなく」
「ふーん。いいよ、それやるよ」
俺がそう言うと、志乃はぱっと笑顔になり「ありがとう」と言った。
どうにも俺はその笑顔に弱いらしい。
普段はあまり笑わないから、なおさらだ。
志乃が俺にはまれば、ヨコイの情報も聞きやすいと思って接触した。
しかし案外、はまっているのは俺のほうかもしれない。
こんな時間を大切に思っている自分がいるのだ。
家に帰っても、誰がいるわけではない。
ならば、と彼女を求めるのは依存している証拠なのか。
組織のエースが、情けない。
俺は自分自身に自嘲した。