インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
「手、繋いでもいいですか?」



ひかりの躊躇うような、
申し訳なさそうな声が
夜のしじまに響いた。



「手?」



「はい。繋いでもかまいませんか?」



「べつにいいけど…」



べつに
嫌じゃない。



そんなの
お安いご用。



だけど、
どうして?

という疑問が残った。



ひかりが遠慮がちに
手をつないでくる。



あったかい手。



細くしなやかな手。



けれど、
一見頼りない、
か弱い、
強く握りしめれば
ポキンと
折れちゃいそう。



ううん…



それは間違いかも。



どんなに
ぎゅっとしても、
きつく握りこんでも、
いくらでも耐えられそうな柔軟性がある。



いや、
しかし、
あたしなんかが……



それも問題ない。



いまは、
闇が
すべてを
包み隠してくれてる。



そうだ。
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