インスタントラブ~甘くて切ない一目惚れの恋~
あたしたちを
突き落としたのは!



そう直感した。



目が合った。



ゾクッとした。



恐怖。


それを振り払うように
眉間にしわを寄せる。



「お前……」



罵声のひとつも浴びせてやろうかと思ったけど、口の中がカラカラ。



ノリでくっ付けたように
うまく動かない。



男がポケットを探ってる。



そう思った次の瞬間、
白く光るものが見えた。



ナイフ。



それを
右手握りしめた途端、

明らかに
男にみなぎったものがあった。



殺気。




え?まじで!?



てか、
殺される?



それがわかってても
放心したように
すぐには動けない。



全身が
鉛でも巻きつけたように
重い。



逃げなきゃ。



まず
そう思った。



当然の反応でしょ。



だけど、
ひとりで逃げるの?
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