Sin〜AfterStory
『おじさん、心配させてごめんね』

アニタが手渡してくれたワープロに上手く曲がらない手を伸ばし、シンは話す。

『そして、ありがと。俺のこと心配してくれて、めっちゃ嬉しい』

じわりと滲んだ涙をごまかすように、店主は微笑んでいるシンの頭をごつい手でガシガシと撫でた。

『おばあさんもありがと。パイめっちゃ美味しかった。誘拐されたのはびっくりしたけど、俺、おばあさん好きだからまた遊びに来ていい?』

シンの問い掛けにおばあさんの目尻が嬉しそうに下がる。

「勿論さ。先生が良いって言ってくれたらあたしが世話してあげるよ」

うん、と頷き、シンはアニタの方をみてひょこっと首を傾げた。

『アニタ、その箱何?』

「あ、これ。今日お休みだったからシン君にケーキ焼いて来たの。自慢じゃないけどケーキ屋さんのより美味しいわよ?」

愛情込めたから、とウインクするアニタ。

シンはぱちぱちと数回瞬きし。

そして、心底嬉しそうに笑った。

『どうしよう。俺、めっちゃしあわせだ』


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