Sin〜AfterStory
さて、とトレーを持ち店に戻ろうとした時。

「こんにちは〜」

布屋の女性店員の声がした。

確か今日布屋は休みだったな。そう記憶を辿りつつ店に出る。

「あ、こんにちはおじさん」

「おう、アニタ。どうしたい」

布屋の女性店員――アニタは手にケーキの箱を持っていた。

「今日休みだったので、シン君にケーキ焼いて来たんですけど。シン君、今日は来てないんですか?」

「え、居るだろ、そこ……」

店主はシンの指定席を指差して、絶句した。

シンが居た場所はもぬけの殻だった。

テーブルには開いたままのワープロ。荷物も置きっぱなしで、車椅子ごとシンの姿が消えていた。

店主の脳裏に過去の嫌な記憶が蘇る。

同じように忽然と姿を消したシンが、集団リンチに遭って酷い傷を負った事を。

そう、シンはルージャの血を引いているから――

ガシャン、と乱暴にトレーを置き、店主は外に飛び出した。

「シン!!」


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