Sin〜AfterStory
まいったな、俺、誘拐されちゃったよ。
ふわりと揺れたレースのカーテン越しに外を覗きながら、シンはため息をついた。
いきなり姿を消したらおじさん達が心配するのに。最後までそう書けないうちに連れて来られちゃったし。
かと言って自力で脱出出来るほど俺の体自由利かないし。
仕方ないか、とシンはもう一度ため息をついた。半ば諦めの気持ちで。
ワープロに残ってる中途半端な文で、おじさん達が“ここ”に気づいてくれれば良いんだけどな。
「シン、林檎ジュースで良いかい?」
“ここ”の住人――シンを誘拐した犯人――が、キッチンから顔を覗かせた。
「う、ん」
こくんと頷くシンを嬉しそうに見つめる犯人は、作り立ての林檎ジュースとパイをトレーに乗せてシンの所へ戻ってきた。