『伝言歌』


ひらひらと舞う桜――。

キラキラと輝く星――。



そんな景色が大好きで、家からも近いこの公園はあたしのお気に入りの場所。


だから路上ライブの後はここへ寄ってから帰るのが習慣になっている。





塗装が落ちてきたベンチに座ると、再びギターケースを開く。

公園には人の姿は見えない。

今度はたった一人のステージ。



この場所で歌うときにはお客さんなんて必要なかった。

思うがまま、好きなように歌えれば、それで良かった。





なのに――……。





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