月の恋人


それから数日間


あたしは
貧血で倒れたことと
生理痛を理由に、

ご飯の時間以外は、ずっと自分の部屋に篭っていた。




病気ではないけど、
しんどいのは本当だったし


結局、お赤飯のお陰で

あたしの初潮は、みんなが知ってて。

なんだか気恥ずかしくて、できるだけ人と接しなくて良いのは、好都合だった。






翔くんとは

あれから、ほとんど話していない。


聞きたいことは
たくさん、あったけど。





大概

朝、重い頭を抱えてリビングへ行くと
翔くんは、もういなくて。


毎日、どこへ行っているのか分からないけれど

夕食の時間に帰ってこない事も、しばしばで。





あたしが翔くんを避けているとも

翔くんがあたしを避けているとも



どちらとも言える状況だった。






それでも

薬を飲んで
ベッドで横になると、翔くんと交わしたキスばかり、浮かんできた。



柔らかい唇

翔くんの甘い声



(…刺激的すぎるよ…)




14歳の夏は


大人への階段を

一段飛ばしで昇っているようだった。










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