月の恋人
――――――――――…
「……で、どーなった訳?」
―――…あん?
隣で忙しく手を動かすアキにそう聞かれ、ハッと我に返る。
――…最近、夢想が激しすぎる、俺。
ふとした拍子に陽菜とのキスが蘇ってきて、間の記憶が抜けてる事もしばしばだ。
いまだって
退屈しのぎにアキと駅前のゲーセンに来て、戦闘系のゲームをしてたはずなのに。
……気づいたら、ハデに負け越していた。
「ワリィ、何の話?」
「………おま……………もー、恥ずかしい事何回も言わせんなよ。」
「は?」
「陽・菜・ちゃん!!夏休み中、一回でいいから会わせてくれって、前に頼んだじゃん!」
―――…そうだっけ。
アキは同じクラスのダチだ。
小学校の頃から、
いつもオレの隣にいた陽菜に惚れてて
けど、最近とみに「会わせろ会わせろ」とうるさい。
急に野球部辞めて、毎日暇なのは分かるけど…
っち、色気づきやがって。
「いーなー、お前、陽菜ちゃんと同じ家に住めるなんて……ブカブカのパジャマ姿とかー、可愛い寝顔とかー、見放題ってことだろー。あーーー……うらやましいぜ、ちくしょう。」
半分妄想が入った独り言は、無視しておくとして。(ブカブカのパジャマって何だよ・怒)
「あーー……あいつ、いま体調崩してるからよー…、治ってからな。」
「えっ、何、風邪?…陽菜ちゃん、華奢だもんなぁ……あーー、病院のベッドとか超似合う!」
――…てか、陽菜ちゃんとか勝手に呼ぶな。