月の恋人


けれど


“禁じられれば、余計に欲しくなる”


もはや常識のようなその定理が、ここにも存在していて。




鍵盤に触れる時間を制限されれば、制限されるほど

それは煌くような輝きを放って、心を侵食していった。


秘密を味わう悦びのようなものが、そこにあった。






そう。だから。




両親は、戦略を誤った。







――…中途半端に取り上げるなら、最初から与えなければよかったんだ。












< 260 / 451 >

この作品をシェア

pagetop