月の恋人
「どうして、そんな顔をするんだよ…。」
翔くんは
あたしが翔くんに対して思った事と
まったく同じ事を、あたしに聞いた。
「翔くん…こそ… どうして、そんな顔、してるの?」
何かを言いたそうな
でも、必死で我慢しているような
声にならない、その想いは……
「……陽菜ちゃん…」
…… それ以上、見られたくないと、言っているようだった。
引き寄せられて、抱き締められる。
こうやって、2人になるとすぐにくっつきたがる翔くんは、まるで子どもみたいだ。