月の恋人








―――…






そうだ。

俺は、こうなることが怖かったんだ。











ほんとうは、心のどこかで知っていた。






陽菜ちゃんがふと遠くを見つめるたび

涼の部屋の前で立ち止まるたび

会話の中に 沈黙が訪れるたび






彼女が、涼を想っていたことを。







“渇望”





そう呼んでもおかしくないくらい

彼女は、涼の存在を求めていたのだから。










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