月の恋人
あの日
蒸し暑い午後
おばあちゃん家の帰り道
『俺、スコットランドへ行くことにした。もう、会わないから。』
そう、涼が言ったとき
とっさに
“これで陽菜ちゃんを俺のものにできる”
そう、思ったんだ。
思わず喜んでしまった――…その、罰だろうか。
腕の中の陽菜ちゃんが言った一言が
ものすごい威力で 俺の中心を引き裂いた。
『あたし… 涼が――… すきだもん。』
―――…恐れていたことが、現実になった瞬間だった。