月の恋人



「何か、心当たりは?最近変わったことはありませんでしたか?」


「変わったこと…ですか… 先日、初潮を迎えました。」


「あぁ、なるほど。そうですか。うん、ちょっと戸惑っているのかもしれませんね。他には?」


「この子の同い年の従兄弟が、夏休みの間、家に滞在していて…それで弟がちょっと喧嘩をしたらしくて、家を出て行っています。祖母の家にいますけれど。」


「ふぅーむ… なるほどねぇ。 急激な環境の変化、があったわけですね。」




――――…




あたしは静かにお医者さんとママとのやりとりを聞いていた。

(といっても声が出ないのだからうるさくしようがないんだけど)


なんか ひとり 蚊帳の外みたいだ。




―――…嫌だ。



初潮のこととか

翔くんのこととか


なんだか、自分が丸裸にされてるみたいで、すごく恥ずかしい。




どうしてあたしのいないところで勝手にあたしの話をしているんだろう。


そうやって、なんでもかんでも、大人だけで勝手に決め付けないで。





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