月の恋人
そして、くるりとこっちを向いて…笑った。
「決めた―…。一緒に戻ろうぜ、家出少年。」
「あん?」
「俺も戻るから、お前も戻れば?陽菜ちゃんとこへ。」
「アキ?」
「ケンカだか何だか知らないけど、家戻ってやれば?なんか、お前ら姉弟っていつも一緒だったじゃん。お前の隣に陽菜ちゃんいないと…なんか調子狂うわ。」
いつも一緒―…
確かに…そう、だったかもしれない。
今までは。
でも―…今は、もう…
もう、“陽菜の隣”はオレの場所じゃないんだ。
じゃあ、オレは…陽菜に対してどう接したらいい?
……こんなイレギュラーな状況に、正しい答えなんて出せない。
―――――…