月の恋人


そして、くるりとこっちを向いて…笑った。



「決めた―…。一緒に戻ろうぜ、家出少年。」

「あん?」


「俺も戻るから、お前も戻れば?陽菜ちゃんとこへ。」

「アキ?」


「ケンカだか何だか知らないけど、家戻ってやれば?なんか、お前ら姉弟っていつも一緒だったじゃん。お前の隣に陽菜ちゃんいないと…なんか調子狂うわ。」




いつも一緒―…



確かに…そう、だったかもしれない。

今までは。




でも―…今は、もう…





もう、“陽菜の隣”はオレの場所じゃないんだ。





じゃあ、オレは…陽菜に対してどう接したらいい?

……こんなイレギュラーな状況に、正しい答えなんて出せない。








―――――…




< 389 / 451 >

この作品をシェア

pagetop