月の恋人
一瞬、――…夢かと、思った。
願望が、ついに視覚まで狂わせてしまったのか、と。
扉の外には、ずっと待っていた
愛しい、面影があった。
あどけなさの残る頬
茶色のくせっ毛
いたずらな瞳は戸惑いを帯びて
―――…ウソだ…
目に映るその姿を
何度も…否定しようとしたけど
もう、そんな検証はどうでもよくって
ただ、叫びたかった。
その、名前を―…
「――――…っ」
胸の風船が…破裂、する―…
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