不器用男子
 
 そんなとき崖から女が降ってきた。


「助けてくれても…。」


 そんなしらねぇ奴を助けるほどおせっかい野郎じゃない。


 その女はよく俺に話しかけてくる。


 しかも、部屋が隣。


 最初は邪魔だった。


 でも、なぜか話しかけてこないと変な気がしてならない。

 笑う顔を見るたびなぜか落ち着く、ドキドキする。


 こんなこと初めてでどうしていいかわからない。


 これが何なのかもわからない。

 でも特別な何かがあるってことは分かる。


 いつの間にかかけがえのない存在になっていた?

 話しかけてくれると嬉しいのに、もっとしゃべりたいのに不器用な俺。


 いつもそっけない返事しかしてない。

 昨日も今日も。

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