不器用男子
 そうお礼を言って体育館倉庫から出た。


「千隼まだいるかな?…て何時だろ?」

 ケータイを取り出して時間をみると6時を回ってる。


 樹里菜ちゃんこんな時間まで体育館倉庫に何の用だろ…?


 女の子だし、1人で帰るのかな…?


 そんなことを考えながら教室に戻ってみた。

「千隼…!?」

 千隼はいまだに教室で熟睡してる。


 そろそろ起こさないと先生も帰っちゃうよ…。


「ちーはーや!! 起きて!!」

「あぁ…?…ひなみ…?」

「そうだよ? 帰ろ?」

「そうだな…ってバカっ!! これ着ろ!!」

 とろんとしていた目がぱっちり開いてこっちにブレザーを投げた。

「え…? ひゃぁっ!!??」


 ブラが透けてた…。

「ありがと…。」

「いいから早く着ろ。 帰るぞ」


 なんで濡れてるか聞いてこない…。

 気を使ってくれてるのかな?


「あっ、樹里菜ちゃん!! 1人で帰るのかな!?」

「誰?」

「東内 樹里菜ちゃん! すっごく可愛いんだけど…体育館倉庫に1人で用事があるって言ってたけど…。」


「東内…?」

「知ってるの?」

「いや…?」


 曖昧な返事を返した。

< 82 / 244 >

この作品をシェア

pagetop