クマさん、クマさん。




「あの!熊谷くん、呼んでくれませんか?」



またか・・・。


今日は隣のクラスで1番可愛い子か。


「クマ、呼んでる」


高校に入学して、2年目。



「・・・分かった」



クマとすれ違いに教室に入った。


まぁ隠れて廊下見るけどね。



「熊谷くん、放課後・・・屋上に来てくれないかな・・・?」



女の子を見たら何があるかは雰囲気的に分かる。


「分かった。行くよ」



「待ってますっ」



女の子は一礼すると走って自分の教室に走って行った。





「またお前かよ~」



「毎回カニうるさい」


クマは怠そうに俺を追い払う。



「カニ言うなっ」



「だってお前、蟹原じゃん・・・」



「下の名前で呼べよ!つーかなんでだっ!?
なんでクマばっかりモテるんだよ!?体型は大きいのに、言葉使いが優しいからかっ!?」



別に彼女なんて欲しくない。


でも、女にはモテたい。

これは男として当たり前の考えだ。



「別にモテなくていいよ・・・」



誰にも聞こえないぐらいの声でクマは言ったかもしれないけど


俺は切なそうに言った言葉がちゃんと聞こえていた。


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