クマさん、クマさん。
「おはよう、なっちゃん」
あたしの朝は親友のアオイの声で始まっていると思う。
「おはよう」
「なっちゃん聞いて、昨日ね」
アオイは素直な子だ。
好きだと思えば素直に好きと言える。
あたしと正反対な女の子だ。
「なに?伊能となにかあった?」
伊能はアオイの彼氏だ。
中学から両思いだったのに2人とも気づかなくて、高校3年の秋にやっと2人は結ばれた。
「う・・・うん」
アオイは顔を赤くして頷いた。
伊能もこんな所が好きなんだろうな・・・。
素直なアオイが羨ましいよ。
「そういえば・・・なっちゃんはどこの大学に行くの?」
今はもう12月進路が決まっている人がいる中、あたしはまだ決まっていない。
「・・・まだなんだ」
成績は普通より上で、行ける大学はたくさんある。
・・・でもあたしは悩んでいた。