クマさん、クマさん。
カニが屋上から出て行った瞬間、我慢していた力が抜けた。
「ゲホッゲホッ、ゴッホゴッホ、ウッ」
腹は蹴られて痛いし、顔も殴られて痛い。
咳をする度に口元も痛いしカニの奴
「よくまぁ、こんなにやってくれたよ」
口元が痛いのに自然に口元が緩んだ。
カニがキレた理由は30分前に言った俺の言葉だった。
・・・・・―――――――
「クマぁ~。どうしよ・・・俺行く所ねーよ」
「カニは成績良いけど行きたい大学がないだけだろう」
最初はただカニの進路についての話しをしていた。
「俺、自分が何したいのか分かんね・・・」
けっこう悩んでんだな・・・。
まぁカニが悩むのも無理もない。
高3の秋、こんな大切な時期にまだ悩んでるなんて大変だ。
「そういえばクマはどこ行くんだ?」
「・・・」
来たか・・・。