クマさん、クマさん。


「俺ら全然進路について話たことなかったな。どこ行くんだ?」


「・・・」


もう夏には決まっていた俺の進路。


「どこ行くんだよ。M大?T大?W大?」


カニが言う大学はどれもこれも有名な大学だ。



それもT大は俺が日本なら行こうとした大学だ。


「いや・・・違う」


「はぁ?お前どこ行くの?」


「・・・カの大学」


「はぁ?聞こえねーよ」


「・・・アメリカの大学」


言ってしまった。



「え?・・・聞こえなかった」


「アメリカの大学」


もう1度言った。



「嘘だろ・・・?」


「いや、本当だ。もう・・・決まった」


俺はは床を見て言った。

見えるのは床のコンクリートだけ。

カニがどんな表情をしているのか分からない。



「・・・なんで言ってくれなかったんだよ」


カニの声は震えていた。



「・・・」


「・・・"なっちゃん"はどうすんだよ?」


「・・・なっちゃんはもう好きじゃない」


言った瞬間右頬に痛みが走り、視界がコンクリートから空に変わる。



殴られたと気づくのにそこまで時間は掛からなかった。



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