クマさん、クマさん。
俺は、傷だらけの体で家に帰った。
「ただいま」
「おかえ、ちょっ、どうしたの!」
俺を見て顔面蒼白になっているのは妹の空《ソラ》だ。
「友達とケンカしただけだから大丈夫だよ」
「?お兄ちゃん笑ってるけど痛くないの?」
「痛いけど大丈夫」
体の傷なんてすぐに治る。
「手当てするからリビングにいて」
空は2階にある救急箱を取って下りてくると器用に傷の手当てをしてくれた。
「空、手際良いね」
「まぁ、サッカー部のマネージャーだったし当然でしょ」
「そういえばそうだな。・・・空はどこの高校に行くの?」
「あたしはK高」
K高か・・・。
一瞬あの子の顔を思い出す。
もう諦めたんだ。
「・・・そうなんだ。頑張れよ」
「うん」
空が返事を言う調度に手当ては終わった。
「ありがとう。俺部屋に行くよ」
「分かった。安静にね」
「ん」
自分の部屋に入るとカニにやられた所が痛くて、ベッドに横になった。
こんな痛くなるぐらいあいつも殴ったんだ。
あいつの拳も痛かっただろうな・・・。