クマさん、クマさん。


伊能はあたしの目を真っすぐ見て言った。


「クマ」


あたしが想い続ける人のあだ名。



「ッ・・・クマさんがなに?」


こいつ、いきなりなんなの?


「お前このままでいいのか?クマのこと」


「・・・なにそれ」



もしかして、こいつ気づいてる?


「知ってるよ。お前の気持ち」



やっぱり・・・気づいてたか。


「・・・いつから知ってたの?」


「・・・やっぱりか。中学の卒業式ん時」


卒業式・・・?

卒業式にバレる様な事してないのに・・。


「お前の目線。ずっとクマだったから」


"まぁ、アオイ見てて隣りのお前の視線に気がついた"とアオイを思い出していたのか、優しい顔をして笑った。



「で、まだ好きなんだろ?」


「・・・」


あたしは声を出さずに頭を縦に振った。



「どうすんだよ・・・?」


どうすんだよ・・・?それは今からのあたしの進路について。



「・・・クマさんと同じ大学に行きたいと思ってる」



伊能は一瞬驚いた顔をしてあたしを見た。


「真中・・・・お前知ってんだろ?」


「・・・」



呼吸が速くなる。

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