クマさん、クマさん。
「先輩の恋・・・頑張って下さい」
震えた様な声だった。
名前も知らない後輩だった。
顔も知らない後輩だった。
でも、あたしを好きでいてくれた後輩。
あたしは振り返って後輩をちゃんと見た。
とても優しそうな人だった。
「ありがとう」
あたしは体をドアに向けると屋上を去った。
次は素敵な恋をしてもらいたいな・・・。
そう願いながら教室に帰った。
教室に戻ると、アオイがいなかった。
しょうがないけど、アオイのことは1番伊能に聞いた方がいい。
「伊能、アオイは?」
「真中・・・アオイは職員室行ってる」
職員室か・・・。
「分かった、ありがとう。じゃあ」
アオイ探しに職員室に行くか・・・。
「真中待てよ」
「なによ」
「お前いいのか?」
伊能は真面目な顔をしてあたしに言った。
「・・なにを?」
こいつ・・・目力すだけはすごいわね。