クマさん、クマさん。
―なっちゃんはどこの高校に行くの?―
―あたし?―
―うん―
―あたしとアオイはK高行くよ―
―そうなんだ。頑張ってね―
自分が発した一言で中学の頃を思い出した。
懐かしい・・・。
「なっちゃん?」
『あたしね』
「うん」
『あたし、M大行こうと思うの』
M大・・・なっちゃん家から近い大学。
「M大かぁ。頑張ってね」
それしか言えない。
M大に行くなっちゃん。
外国に行く俺。
俺たちは決して道が重なることがない。
『クマさん』
「ん?」
『アメリカ行っても・・・頑張ってね』
泣いてたからか、なっちゃんの声は明るいとは言えない声のトーンだった。
「・・・あぁ、ありがとう」
やっぱり、"行かないで"とは言ってくれないね。
『じゃあ・・・バイバイ』
またなっちゃんからの"バイバイ"。
泣きそうになる。
「おぅ、またな」
プッ
パチン
もう・・・きっと大丈夫。
これで良かったんだ。
これでなっちゃんを・・・諦められる。