クマさん、クマさん。
「なに?」
―覚えてるに決まってるよっ―
―クマさんはどこの大学に行くの?―
―クマさんなら大丈夫だよ、頑張ってね―
―あたしもう行かなくちゃ・・・じゃあ、バイバイ―
なっちゃんを好きになって11年・・・俺は成長できたんだろうか。
好きな女、1人ぐらい幸せにできるぐらいの力を俺は持てたのだろうか・・・。
そう考えたらキリがない。
でも、やっぱり俺は・・・――――
「シワくちゃなじいさん、ばあさんにもなっても一緒に手を繋いで笑い合って生きて行こう」
なっちゃんと共に人生を歩んで行きたい。
それが11年掛けた俺の願いだから・・・。
なっちゃんはずっと涙を流していた。
「返事してくれる?」
なっちゃんの答えに自信はない。
"ごめんなさい"かもしれない。
でも、なっちゃんの答えは・・・・
「クマさん」
「ん?」
「あたしのこと・・・覚えてたの?」
俺のプロポーズはぐらかされたのかな・・・?
一瞬そう考えながらなっちゃんの質問に吹き出してしまった。