恋愛倶楽部 -love-
「人の──しかも同じ部活の後輩の彼女口説くって、どんな神経してんの」
呆れた。
「は?違うっての。
恋愛相談に乗ってんの」
「だいたい、部活やりに来たんじゃないの?
なんでボールも蹴らずにお喋りに花咲かせてるわけ」
止まらない文句に、奏斗はため息をつく。
すると、あたしのほうまで歩いてきて。
「やきもち?」
目線を合わせると満面の笑みで聞いてくるから、思いきり髪の毛を引っ張ってやった。
「ふざけないで」
「わかったっての。
ボール蹴ればいいんだろー?」
相変わらず笑顔で、サッカー部の人たちの輪に入っていく。
そのうちの1人の肩に腕を回して、何かを話した後またこっちを見た。
「オレの勇姿を見逃すなよ!」
あたしを指差してそれだけ言うと、部員のうち数人を集めて。
「少数で試合をやるつもりみたいですねっ」
様子を窺っていたあたしの隣には、気づけば木仲さん。
「奏斗先輩、けっこう上手なんですよ」
教えられて、奏斗を目で追いかけてみると
「……ムカつく」
零れた本音。
あたしはサッカーとか、よくわかんないけど。
回りの人たちを避けるのも上手いし、パスを出すのも上手いし。
「奏斗のくせに」