水島くん、好きな人はいますか。

・うろに隠すもの



12月中旬、今年最後の期末テストが始まった。


「おい万代。勉強するか食うかどっちかにしろ」


ピーッとクッキングヒーターから加熱終了の音が鳴る。ノートから向かいに座る瞬を見る。


「なにか言った?」

「意味ねえから飯食え。ずっと一点だけ見やがって」


図星を衝かれたので、大人しくノートをしまう。


久しぶりにお母さんが作ってくれた朝食を食べないわけにもいかないしね。


持っていたままだったフォークにナポリタンを絡ませる。プレートには他にも厚切りベーコンにブロッコリー、プチトマトが乗っていた。テーブルにはバターロールが入ったバスケットと、フルーツポンチも置かれている。


「万代。ミルクティーでいいの?」


キッチンに立つお母さんは、口をもぐもぐ動かすわたしに少し笑った。


「うん、濃いめで。ありがとう」

「瞬くんは? 同じでいいよね」

「そう言うなら訊かないでほしいんすけど」

「細かいな。糖分取っときなさいよ。今日の1発目、苦手な国語なんでしょ」


そうだそうだ、と心の中でお母さんを後押しする。


「あーあ。早く明日になんねえかな」


今日は期末テスト最終日の前日にあたる。
明日さえ終わればテスト休みに入り、そのまま冬休みとなるため、明日から冬休みのようなものだ。
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