水島くん、好きな人はいますか。

「万代……どうしたの、冷えた?」

「へ?」


ゆるめたままの口で間抜けな反応をする。みくるちゃんの視線にならうと、二の腕を握り締める自分の手があった。


「あ、ううん。大丈夫」

「そう? なんか羽織るもの持ってくればよかったね」

「なあ。もっと奥のほう行ってみねえ? もちろん行くよな」

「……僕はいいけど」


ちらりと視線をよこしたハカセに首を傾げる。

あ、寒いかもって気遣ってくれてるのかな。


「わたしは大丈――…」

「てめえは留守番だクソマヨネーズ」

「えっ?」


どうして急に暴言を吐かれなきゃいけないの。


「京も動くなよ。自然大好きなお前がいちゃ、俺主導の散策ができなくなるからな。ほら、行くぞ」


えっ!? それじゃあ2対3に分かれちゃうじゃない!


「待って、わたしなら寒くないってば! 一緒に……、」

「答えはイエスかイエッサーの二択だ」

「前から思ってたけど、それ二択って言わないよね!?」

「黙って俺に従えってことだよっ」


な、なんなの急に……。瞬の横暴さは今に始まったことじゃないけど、今日くらい拒否権をくれたっていいじゃない。


こんな風に5人そろって夜更かしすることは、最後かもしれないんだから。


「京に話すことがあんじゃねえのか」

「…………」

「あるだろ、万代」


瞬の真摯な眼差しは、わたしに問いだけを残して答えを根こそぎ奪ってしまう。
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