水島くん、好きな人はいますか。
……最後だから?
こんな夜は今日が最後だろうって思うから、水島くんとふたりきりにさせてくれるの?
なんのために? 話すことなんか……ないのに?
「文句ならあとで聞いてやる。ねじふせるけど」
手の甲を上にしたそれを差し出してきた瞬は、告げる。
「俺はお前がしたように、俺も万代のことを考えて行動してやったんだ、ってな」
――バチン! 掴もうと伸ばした手のひらを強く叩き落とされた。
「いっ……!」
「頑張りやがれ」
力加減っていうものを……っていうか、叩かれるために出したわけじゃないのに、本当に置いてく、とか……。
じんじんする手のひらから、意識を水島くんへ向ける。
「あ、あはは……瞬どうしたんだろうね、いきなり」
「俺はかまわんけん」
ごまかそうとするわたしを細められた知的な瞳が射抜く。
「万代とふたりになるの、嫌いじゃなかし」
「……、」
ためらいのない台詞だから、どきどきと胸が騒ぐ。
ためらう必要のない台詞だから、ずきずきと胸が痛む。
あからさまにふたりきりにされても、水島くんは狼狽しない。嫌がらない。照れだってしない。
おだやかに微笑んでくれる水島くんは、優しいね。
それはわたしの気分次第で、至福にも残酷にもなってしまうけれど。
「やっぱり水島くんは、笑ってるほうがいいなあ」
きょとんとした顔が、困ったものに変わる。