水島くん、好きな人はいますか。

「それは言うなや」

「どうして?」

「万代に言われると、『俺いっつも笑っちょるじゃろー?』って言えんけん」

「あー……ふふっ。ほんとだ」

「認めんの早っ! うわーもう……なんかやこれ」


恥ずかしいのか、両手で顔を覆った水島くんを見つめる。


コンスタントに切っていたみたいだけど、3年前より髪が伸びた。背なんかこれからもっと伸びるんだろうな……。


ぎゅっ、と。胸の奥が思い出の底に踏み締められる。


水島くんの“これから”に、わたしはいない。


どれだけそばにいたくても、惹かれ続けていても。水島くんは遠くへ行って、わたしは片思いしたまま。


「万代」


両手の仮面をとった水島くんはそっと、視線を上げた。


露ほども濁りはしないこの瞳に見つめられるたび、胸はざわつき、熱くなった。


手を伸ばしたくなって、触れ合いたくなって、真ん中から溶けていく想いの海に、溺れそうになる。


「俺に話って、なんかや?」


……ねえ、水島くん。


叶わない恋って、なんだろう。



「なんの話だと思う?」


ふふ、と笑うわたしは水島くんの目に、どう映ってる?


話したくないから、ごまかしているように見えるかな。


「わからん。でも瞬がここまでするってめずらしいけん、話があるならちゃんと……」

「聞きたい?」

「……ん」


そっか……そうだね。瞬の態度はあからさまだったもん。わたしの話が、告白かもしれないって思うよね。
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