水島くん、好きな人はいますか。
◇
日曜日を迎え、勉強会が行われる学校近くのファミレスへ赴いた。
午後1時の10分前に到着するように向かったら、瞬としゃべっていたみくるちゃんがいち早く気付き、手を振ってくれた。
ふたりの他にも男女が4人いた。
「早いね! てか私服かわいいじゃん!」
「あ、ありがとう……」
今日は意識してボーダー柄のキャミワンピを着てきたんだけど、女の子っぽすぎるのは恥ずかしくて、デニムワークキャップと黒のジャケットとショートブーツを合わせてみた。
すごく悩んだ。今さらになって生足が恥ずかしい。
「好み似てるかも。今度一緒に買い物行こうよー」
似てるのは丈が長めなジャケットのみです!
みくるちゃんが着るシンプルな白いロゴTシャツに淡いベージュのジャケット、特に紺色のかぼパンはかわいいと思うけど……。
曖昧に笑うわたしは感じる視線が怖くてうまく言葉も出なければ、瞬の顔も見られない。
「……おい。なんでここに万代がいるんだ」
――え?
「決まってるじゃん。今日の勉強会に誘ったからだよ」
「はあ!? 誘ったって……聞いてねえぞ!」
驚いて瞬を見れば、同時に視界に入ったみくるちゃんが顔の前で両手を合わせていた。
う、嘘でしょ……。瞬のこと説得できるなんてすごいと思ってたら、説明無しのぶっつけ本番!?
ちょっと待って。じゃあ今からわたし……。