水島くん、好きな人はいますか。


どうしてみくるちゃんが謝るの。

わたしがあんな風に言われるのは当然のことで、瞬が提示する恋愛の仕方は、彼女にとっては窮屈でしかないはずなのに。


「ごめん、万代。本当に、ごめんなさいっ……!」


どうしてみくるちゃんは泣いて、わたしまで泣きそうになってるの。


「で? 万代。お前が俺たちを避けようとしたのはコレが理由か?」


コレなんて言ってみくるちゃんを見遣った瞬に、数秒だけ言葉を失う。


「……怒ったの?」

「は?」

「瞬はみくるちゃんからその話を聞いて怒ったの? こんなみくるちゃん見たことない。どうして瞬ってそうなの」

「ああ?」


瞬は睨んできたけれど、黙ろうとは思わなかった。


「おい万代。いいか、」

「みくるちゃんはむかつくなんて言ってない」

「今俺がしゃべってんだろーがっ」

「みくるちゃんは1度もわたしのことむかつくなんて言ってない!」

「はあ!? お前なに言って……、咳出るなら黙れよ!」


げほっごほっ、と激しく咽てしまい、苦しさから涙が滲んだ。そういうことにしておいた。


みくるちゃんは悪くない。そう伝えるために瞬を睨めば、


「万代が嘘ついちょるか、いちばんわかるんは瞬じゃろ?」


と、黙っていた水島くんが問う。


すると瞬は大袈裟にため息をついてから、わたしよりも数倍は鋭い眼光で睨み返してきた。
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