盲目
痛みに悶えて

2007年4月

どきりとした。
心臓がゆっくりとスピードをあげていく。
目の前の玄関に貼り出されたクラス割りのせい、だ。

「同じクラスだったらいいねっ」

親友、というのだろうか、とりあえずそういう関係にある人間が、私ににっこりと笑いかけた。
彼女の名前は佐々木 愛李(ささき あいり)。
私より少し背が低く、茶っぽいロングの髪をツインテールに結んでいる。
愛李は、正直言ってすごく可愛い。
したがって、まことしやかに囁かれる恋の噂に登場することも多い。

「うん…そうだね」

私は小さな声でそう返した。
愛李に比べて私は、至って普通の顔で、身長は小さくも大きくもなく、声はどちらかというと低め、言葉遣いは少し悪い。
髪型もパッとしないセミロングで、そう、私はいわゆる「少し口の悪い、どこにでもいそうな普通の子」だ。
だからと言って、男子にモテたいわけではない。
他の子たちのようにに色気づくのが恥かしいというのもあるけれど、ただ…私には好きな人がいなかった。
それが、私が「普通」のままである理由なのだとはわかっていても、好きじゃないものはしょうがない。

「早く見に行こうよ!!」

愛李が興奮した様子で私の背を押した。
そんな仕草すらもが可愛らしくて…羨ましくないといえば嘘になる。
私は愛李の動きに逆らわず、クラス割りを見に人ごみに入り込んだ。
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