盲目
2年生はABCDまでの4クラス。
一昨年までは5クラスだったが、少子化問題のせいで1クラス減ったらしい。
…いや、そんなことはどうでもいい。
「橘 華夜」と「佐々木 愛李」の文字がある表を探して、私たちはA組から順に表を見ていく。

「あっ、あったぁ!!」

私の横で、愛李が歓声を上げた。
ぱっと輝いた顔で、私を振り返り、そこを指差す。

「同じクラスだよっ、良かったね、華夜っ」

花が咲いたような笑みの愛李に微笑み返し、私は表を見た。
…C組、だった。
私と愛李の名前は、そこに少し離れて書いてある。
素直に嬉しい、と思った。
愛李と離れてしまったら、私の生活はぐっとつまらなくなるだろうから。

ふと表の下の方に目をやると、去年同じクラスだった子の名前がちらほらと見えた。
流し読みしていたその中の「長谷川 沙希(はせがわ さき)」という名前が、この後の生活でどれだけ私に影響を与えるか、私はまだ、知らなかった。

「うわ、早く行かないとっ」

言葉と同時にぐい、と手を引かれ、私はつんのめりそうになった。

「わっ、あ、愛李…っ」

手を引っ張った人間の名前を呼ぶけれど、彼女自身は聞いていない。
周りはもう人はまばらで、そろそろ始業ベルが鳴る時間だということがわかった。
私たちは急いで、教室へと走った。
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