いぢわる王子様
「……ふっ……ぅっ」


思わず、涙がこぼれると同時に嗚咽がもれた。


「碧」


心配してくる律の手を振り払う。


「碧ちゃん!!」


駆け出す私に、誠先輩が「まだ、話しがあるんだ!!」と、叫ぶ。


もう嫌!!


もう、何も聞きたくない!!


みんなが恋人と一緒に花火を見ている間、私は一人で、泣いていた――。

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