いぢわる王子様
その言葉に、私も思わず笑ってしまう。


「そうじゃなくて」


「うん。大丈夫だったか?」


「私は全然大丈夫。直に傷つけられるワケじゃないから」


「碧の体を傷つける奴がいたら、ぶん殴ってやるよ」


すぐるは、こぶしを作ってみせる。


私はそのこぶしを優しく包み込み、指を絡ませた。


「あのね、すぐる」


「うん?」


「『長浜弥生』って人、知ってる?」
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