いぢわる王子様
私の質問にすぐに返事はなかった。


「すぐる?」


振り返ろうとする私を、すぐるが痛いほど抱きしめて阻止した。


「そうしたの?」


すぐるの顔が見えないままで、そう聞く。


すると、すぐるは軽く息を吐き出した。


「なぁ、碧」


「なに?」


「俺、最初は気を強いからってだけの理由で、碧を選んだ」


「……そうなんだ」


「けど、今は違う」


すぐるが、私の首筋に軽くキスをする。
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