君の声。
「だから、今日はゆっくり休めって。な?」
雪の顔を見て、表面上に貼り付けた笑みで微笑む。
それでも、雪の目を見ることはできなかったけど
雪も、俯いたままで、顔を上げなかった。
雪の家の前まで来て、向かい合って立ち止まる。
手は繋いだまま、
「じゃぁ、またな。」
また、なんて残酷な言葉に過ぎなかった。
こんな嘘を、吐かなければならないなんて
「‥うん、また、ね…?」
縋るような瞳で見つめてきた雪に、
締め付けられる胸が痛かったけど
「あぁ。またな。」
言いたくない言葉を言う事に、俺はあまりにも、慣れすぎていた。
少しだけ、
雪を握る手に力を込める。
もう二度と、
感じることのないぬくもりと、
伝えられない愛情を、伝えるように、
ただ君の、手の感触を確かめた。
雪が家に入るのを確認して、俺も家に帰った。
「……………雪、好きだった。‥誰よりも。お前が。」
白い息と共に零れた言葉は
その対象に届くことなく、闇に染まった空に溶け消えた。