桜下心中
「死んだじいさんが使ってたらしいんだ。書斎代わりというか、隠れ家かな?」

 書斎というのもなんとなく分かるような、開店してるのか分からないような古い本屋の二階、ほこり臭いギシギシ言う階段を上った一室。


「ここ、父がさ、僕も使っていいって。勉学のためにね」

 いたずらっこのように、ニヤっと笑った。ドアを開けると、6畳ほどの広さの部屋だった。

 内部はまるで最近まで人が住んでいたかのように、きれいにされていた。

「きのう、掃除しに来たんだよ」

 小さい流しもあるし、押入もある。

 部屋の一面を埋める大きな本棚には、難しそうな本がびっしりと並んでいた。お祖父さんの本なのだろう。


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