桜下心中
 わたしは、家の玄関を開けた。


 埃っぽい、静まりかえった家の中。



「佐恵ちゃん、いままでどこへ? 体に障りますよ」


「ごめんなさい、母さん」



 わたしは、足袋と着物をきれいなものに取り替えた。

 あちこち泥だらけ、汚れてしまった。



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