モテ男と勤勉オンナの【秘】ラブ・ゲーム
「あれ? もしかして南 椿?」


塾の自習室を出たところで、あたしは男の声に呼びとめられた


廊下に、見覚えのある男子が知らない制服を着て立っていた


「やっぱ、南じゃん。へえ、この塾に通ってたんだ。家から遠くね?」


「椎名君、ひ…久しぶり」


あたしは顔をひきつらせながら、笑顔を無理やり作った


あたしの初恋の男子…であり、あたしに男との恋を諦めさせてくれた最低男でもある


『ガリ勉オタク女』とか『勤勉オタク女』とか


影でのお笑いあだ名をつけて、ケラケラと笑っていた男だ


中学の淡い恋心を、打ち砕いて、あたしを突き落とした


中学に通うのがすごく苦痛にさせ

家から離れてて…誰も受けない高校を決める決定打をくれた男でもある


「高校から近いから」


あたしはぼそっと答えた


「そうなんだ。俺は、彼女がこの塾に通ってるからさあ。俺もここに通うことにしたんだ」


嬉しそうに話す椎名君に、「ふうん」と興味なく返事をした

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