隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~
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「蓮、明日なにしてんの」

 バイトから帰って、蓮に電話をかけた。今日は土曜日で、蓮はお休みになったって言ってた。タケさんの店にでも誘おうと思って。
 先日の入院から帰ってきて、2日間バイトを休ませてもらった。ゆっくり寝てたらものすごく元気になって、蓮に買ってきて貰ったお弁当を2つも食べた。詩絵里、全快。その時、今度の土曜日が休みだって言ってたんだ。

「ちょっと……熱があってしんどい」

「え、大丈夫なの?」

 風邪でもひいたのだろうか。ありゃ、この間うつしちゃったかな。

「ちょっと背中が……」

「?? 背中?」

 まさか、おんぶしてどこか悪くしたとか。背中寝違えたとか。病院連れて行こうか。

「あーいやいや。んーまぁ。大丈夫よー」

「ふーん……」

「バファリンの半分は優しさで出来てるって知ってる?」

「面白いかも」


 なんだか熱のせいか、蓮は言ってることがちょっと意味不明で酔っぱらっているみたいな。また酔っぱらってるのかな……。そんなわけないか。蓮の後ろから音楽が聞こえる。多分、自分の部屋に居るんだろうけど。

「この間の風邪うつしちゃったかなぁ。酷くなったら大変だからゆっくり休んでなよ。ヤバかったら連絡して」

「おーわかった」


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